TRANSFORMERES Cloud , 時空界

ー 因 縁 ー

第三話「因縁」

Illustrated by HIDETSUGU YOSHIOKA
Story by makoto wakabayashi

政治犯X-86・・・「メガトロン」はかつて時空警察の一員として従事していたが、時空や「SARA」の管理についてはオプティマスと度々衝突していた。オプティマスは各時空世界を尊重し「SARA」はあくまでクラウド世界の発展と時空の平穏を維持するために利用していくことを考えていたが、メガトロンは「SARA」の強大な力を軍事目的に利用し、全時空を力で支配するべきだと考えていた。時と共に両者の溝は深まり、ついにメガトロンは自分に賛同するトランスフォーマー達を集めオプティマス達に反逆し宣戦布告をする。オプティマス達はクラウド世界を守るという使命を全うすべく奮闘し、辛うじてその戦いに勝利した。反逆したメガトロン達は地下世界アンダーグラウンドへと追放されたのであった。

「へへっ、俺様のアタックに慌てふためく連中ときたら。まったく気分がいいぜ。」
第3地区を攻撃していたスタースクリームがメガトロンに報告するべく、ジェット機に変形して飛んできた。
「トランスフォーム!メガトロン様!」
浮かれた表情で意気揚々とロボットモードに変形して地上に降り立つ
「スタースクリームか・・・。貴様の持ち場はここではないはずだが、いったい何の用だ?」
スタースクリームを煙たがるメガトロン。
「第3地区の攻撃が完了したので報告にまいりました。しっかしオートボットの奴らメガトロン様の作戦のおかげで全く対応出来てないですね。こんなに楽な戦いはそう滅多にないですよ。」
ご機嫌取りの下心が見え透ける態度にメガトロンは辟易して答える。
「貴様という奴は・・・、そんなことを言うためにここまで来たのか・・・。」
「そんなこととはなんです!実際に戦果をご覧になれば私めの有能さをきっとご理解いただけるはずで・・・」
ご機嫌取りを行う最中、スタースクリームに一本の通信が入った。
「スタースクリーム!!」
「何だ、サンダークラッカーか。今は忙しい、後にしてくれ」
「忙しいだと!どうせ下らないことでゴマすってるだけだろ!?こっちこそそれどころじゃない、オートボットの奴らが集まってきて反撃を・・・ぐあぁぁ!?」
通信を聞き、先ほどまでの自信に溢れたスタースクリームの表情はメガトロンの無言の視線でみるみるうちに恐怖の表情に変わっていった。
「も、申し訳ありませんメガトロン様!すぐに戻って奴らを・・・」
その時である。一人のトランスフォーマーが二者の前に立ちはだかり、雄々しい声をあげた。
「やはり貴様らだったか!スタースクリーム、そして・・・メガトロン!!」
大地に立つ力強いその姿、蒼く光る瞳にゆるぎない意思を宿らせたそのトランスフォーマーこそオートボット総司令官オプティマスプライムだった。
「オプティマス・・・!久しぶりだな…やはりこの私を出迎えるのは貴様だったか。」
「メガトロン・・・貴様が我々に戦いを挑みメトロポリスを追放されて以来だな。お似合いの地下世界の住み心地はどうだ?」
口調を押さえつつも、オプティマスからは愛する仲間と都市を破壊されたことに対する怒りが感じられる。
「クックック・・・!ああ、最高だったさ…メトロポリスでぬくぬくと暮らしているお前らオートボットには、想像もつかぬだろうがなぁ」
「話はそこまでだ!オプティマス!!これでもくらえ!!」
スタースクリームは会話を遮り、オプティマスに目がけて大量のミサイルを放つ。
しかしオプティマスはそれを難なく避け、的確な射撃で逆にスタースクリームの肩を打ち抜いた!
「ぎぃい・・・やああああああああああああ!!!!!」
スタースクリームは耳を劈くような悲鳴を上げながら吹き飛ばされる。
「この愚か者め!奴は貴様でどうにかなる相手ではないわ!下がっておれ!!」
「し、しかしメガトロン様・・・」
メガトロンはダメージに苦悶するスタースクリームを無視し、臨戦態勢を整える。
「メガトロン、いつぞやの決着を付けようじゃないか!」
「望むところだオプティマス・・・前のようにはいかんぞ!」
両者はにらみ合いながら自らの思いを武器に込める。
オプティマスは愛する街を破壊されたことへの煮えたぎる怒りを銃に、メガトロンは目の前の宿敵への終わりなき殺意を太刀に。両者は間合いギリギリにまで接近した。
瞳のセンサーはお互いをロックし、全身の駆動部が張り詰め、命(スパーク)の鼓動さえ聞こえるような静寂が訪れる。どちらが先に仕掛けるか・・・リーダーであると同時に優秀な戦士でもある二人は、それまでに起こった様々な出来事を走馬灯のごとく思い出しながら攻撃の機会をうかがっていた。
その時である。二人の周囲で爆発が起こり、その振動によりオプティマスの姿勢がわずかに崩れた。
その隙を見逃すメガトロンではなかった。一瞬で踏み込みオプティマスに斬りかかる。相手を完全に捕らえた一撃であった!だが!
「トランスフォーム!」
オプティマスは瞬時にその姿をトレーラーへ変形して、自らメガトロンへと体当たりした。
「ぐっ!?」
強靭なトレーラーボディと銀の鎧がぶつかり合った鈍い音が周囲に響く。強烈なカウンターを食らいメガトロンは大きく後ろに吹き飛ばされる。
「食らえメガトロン!」
オプティマスはトレーラーから瞬時にロボットモードへと戻り追い討ちとばかりにビームを放つ。だがすぐさま立ち上がりメガトロンは放たれたビームを一刀両断にする。
「甘いわ!」
メガトロンが斬り裂いたビームのエネルギーは飛散し後方にいたスタースクリーム目がけて襲いかかった。
「うわぁぁ!?メガトロン様ぁ!助けてください!」
転がりながら回避する部下を気に留めることもなく、両者の戦いは更に過酷を極めていく。
「ハッハッハッ!さすがはオプティマス・・やるではないか!」
「貴様こそ、以前のメガトロンではないようだな!」
休み無く繰り出されるメガトロンの剣戟を避けながら、オプティマスは目の前の敵がかつてないほど強力になっているのを感じとっていた。 近接戦では不利と距離を開けようとするも、メガトロンの猛攻はその間合いから獲物を逃がすことを許さない。徐々に動きを読まれ、追い詰められていく…。
「もらったぞ!」
急所を捉えた鋭い切っ先がオプティマスに迫る。避けきれないと悟ったオプティマスはやむをえず銃で受け止め、銃身に深く太刀が食い込んだ。
しかしメガトロンは凶悪な笑みを浮かべるとオプティマスの銃ごと太刀を投げ捨て、自らの手で殴りかかってきた。不意を付かれひるむオプティマスのボディに一撃、さらに一撃と鋼の拳が容赦なくめり込む。
「よいぞ!この手で貴様を叩きのめすこの感触…今までこの瞬間(とき)をどれほど待ち望んだか・・・!」
倒れたオプティマスに更なる強烈な殴打を繰り返す。
「遺言があれば聞いてやるぞオプティマス!」
「お前こそ考え直したらどうだ…」
オプティマスの瞳にある闘志はまだ消えていない。
「誰も私を止めることはできん!たとえオプティマス貴様でも…」
その瞬間、オプティマスの背中のキャノンがメガトロンに向けて火を吹いた。彼が普段背負っているエネルギーユニットは強力な武器にもなるのだ。
だがメガトロンはその一撃を隠し持っていたもう一本の小太刀で切り裂き受けきる。
距離をとり再び間合いを図る両者。
「よい攻撃だ、オプティマス。こうでなくてはな!」
「き、貴様も大した力だメガトロン・・・」
会話の途中で突如、オプティマスに作戦本部から通信が入った。
「し、司令官!応答願います!」
「何だ、ラチェット!手短に伝えろ!」
作戦本部に残っていたラチェットの慌てた声を聞いたメガトロンは、拳を下ろし笑みをこぼした。
「それが・・・それが・・・」
「何だと言っている!うろたえてないで早く言うんだ!」
その様子から事態の深刻さに気づきオプティマスも焦り始めた。
「は・・・はいっ!ディセプティコンの手によってメトロポリス中心部から「SARA」が強奪されました!」

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